紅の葬送曲
「あの時は混乱していて自分の感情が分からなかったとはいえ、君を仲間だと思っていたのに悲しませた。ごめん……」
私自身のことなのに私も混乱していたから、小鳥遊君が混乱するのも無理もない。
それでも手を振り払われたのはショックだった。
でも、今は──。
「都合が良いかもしれないけど、また一緒に……ッ!」
差し出された手を握ると、小鳥遊君はびくりと肩を揺らした。
「手を差し出してくれてありがとう、小鳥遊君」
差し出して振り払われた手は差し出された。
それが彼にとってどれだけの苦悩と戦った後の一歩なのか私には分かる気がした。
そんな彼の手を私が振り払うわけがない。
「また……仲間として見てくれる?」
私の出生の秘密を知ってもまだ仲間として見てくれるか不安だった。
「当然」
小鳥遊君はにかっと笑って、握った私の手を握り返してくれる。
それが嬉しくて、私も自然と笑顔になる。