紅の葬送曲
「──それにしても、納得がいかない」
和やかな空気になりつつあった空間に、寿永隊長の不機嫌な声がする。
「凌、俺と彼女が握手するの駄目?もしかして、凌、浅井ちゃんのこ──たッ!?」
意味ありげにニヤニヤしている小鳥遊君の怪我した腕を寿永隊長は手加減なしに殴る。
「黙れ、馬鹿。俺が言いたいのはそういうことじゃない」
「~~~っ、だったら何!?」
殴られた腕が痛いのか、小鳥遊君は腕を押さえながら涙目で彼を睨み付ける。
「父さん宛に届いた手紙だ」
寿永隊長の言葉に、その場にいる人全員が疑問符を浮かべた。
寿永隊長のお父さん宛の手紙ってことは、私が持ってるお父さんから私への手紙のことだよね?
確かに彼のお父さん宛なのに、中身が私宛っておかしいかもしれないけど……。
「それがどうなされたのですか?」
小鳥遊さんが問うと、彼はいつの間にコピーを取ったのか私の持っている手紙と同じものをポケットから取り出した。