紅の葬送曲
「ひ……っ」
横を見ると、頬にくっきりとした青筋を浮かべた寿永隊長がいた。
「この馬鹿が!死んだらどうするつもりだったんだ!?」
「い、生きてるんだから良いじゃないですか……っ!」
「そういう問題じゃない!まったく……」
がーっと怒鳴ってくる寿永隊長だったけど、苦笑いを浮かべてそっと私の頬に触れた。
頬を指でなぞられるとピリリと痛みを感じる。
「かすり傷で済んで良かったよ。……良くやった」
説教から褒めるとか止めて欲しい……。
胸の音がうるさい。
私は顔が熱くなるのを感じ、「ありがとうございます」としか言えなかった。
「凌」
すると、彼の母親が彼を呼ぶ。
彼の母親はゆっくり立ち上がると、こちらへ近付いてきた。
そして──。