紅の葬送曲


「……お前達は俺達の味方か?」




寿永隊長は見定めるような目を紅斗と琉ちゃんを見た。




味方と思いたくはないのだろう。




でも、小鳥遊さんが遺したものを託した二人なら味方だと思いたい。





そんな感情が彼の中で入り乱れているように感じた。




「僕達は紅緒の味方、紅緒を守ることが目的だ。紅緒がいるのは翔鷹。なら、僕達は君達の味方だ」




紅斗の言葉に、寿永隊長は深く息を吐き出した。




「……味方というのは頭に入れておく。お前達の処遇はまた今度だ」





そう言い残して、彼は拘置所を出ていった。





──そして、今に至る訳なんだけど……。





「紅斗が私を守ろうとしていたというのは本当でしょうか……?」





私は彼にその言葉が本当なのか分かるはずがないのに、つい問い掛けてしまう。





あれだけ敵対していたのに、真の目的は私を守ること。





私を守るって誰の手から?




多分、安倍明晴の手からなんだろうけど……。






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