紅の葬送曲
「……今、変な音しなかった?」
私はいつの間にか隣に立っていた琉ちゃんに問うと、琉ちゃんはこくりと頷いた。
今の音って骨が折れる音じゃ──。
「悪い、骨が折れたかもしれない」
寿永隊長は悪びれもなく蹴り飛ばされ、脇腹を押さえながら蹲る紅斗に近付いた。
やっぱり骨が折れた音か!?
寿永隊長の手加減の無さに動揺しながらも彼の勝利を確信した。
──でも。
「折られたら折り返す!」
紅斗は無防備に近付いてきた寿永隊長を蹴り飛ばそうとするが、そこはやっぱり彼の方が上手だった。
彼は紅斗の膝の裏に腕を入れるとそのまま紅斗を床に押し倒し、動きを止めた。
「まだやるか?」
「ぐ……っ」
紅斗の体がギシリと軋んだ音がする。