紅の葬送曲


「……今、変な音しなかった?」




私はいつの間にか隣に立っていた琉ちゃんに問うと、琉ちゃんはこくりと頷いた。




今の音って骨が折れる音じゃ──。





「悪い、骨が折れたかもしれない」




寿永隊長は悪びれもなく蹴り飛ばされ、脇腹を押さえながら蹲る紅斗に近付いた。





やっぱり骨が折れた音か!?





寿永隊長の手加減の無さに動揺しながらも彼の勝利を確信した。





──でも。





「折られたら折り返す!」




紅斗は無防備に近付いてきた寿永隊長を蹴り飛ばそうとするが、そこはやっぱり彼の方が上手だった。




彼は紅斗の膝の裏に腕を入れるとそのまま紅斗を床に押し倒し、動きを止めた。





「まだやるか?」




「ぐ……っ」




紅斗の体がギシリと軋んだ音がする。





< 323 / 541 >

この作品をシェア

pagetop