紅の葬送曲


紅斗はどれだけ強いか分からないけど、寿永隊長は強い。




狙撃や剣道の腕前はもちろんのこと、格闘技に関しては訓練で彼が劣勢に立たされるところは見たことがない。





文字通り、寿永隊長は翔鷹最強の人だ。





「さぁて、お手並み拝見ッ!」




紅斗は左拳を前に右拳を後ろにして構え、予備動作なく寿永隊長に左拳を突き出す。





でも、寿永隊長は難なくそれを右腕で受け止めると、その止めた紅斗の腕を掴むと足を払った。





「くっ」




足払いをされた紅斗は体勢を崩すが、崩れたのを利用して寿永隊長の顔面向けて足を払い上げる。




その拍子に掴んでいた紅斗の手が寿永隊長の手から離れた。





「……っつ」




払い上げられた紅斗に足を避けると、彼は体勢を整えるために宙返りをして無防備になっていた紅斗の脇腹に横殴りの蹴りを繰り出した。




予期せぬ攻撃に紅斗は受け身が取れず、寿永隊長の横殴りの蹴りはモロに脇腹に入った。




枝が折れるような軽い音がした気がした。






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