紅の葬送曲
≪紅斗side≫



僕達が産まれたのは今から約20年前。




僕達の母さんは切碕を犯罪者とは知らずに愛し、奴の子を……僕達を身籠った。




でも、切碕は行方を眩まし、養護施設育ちで身寄りのなかった母さんは一人で僕達を産み落とし、そのまま命を落とした。




死に際に切碕の名前を呟いたことと出産したのが藤邦の病院だったことから僕達は切碕の子供だと仮定された。




そして、DNA鑑定の結果僕達は切碕の子供だとされ、引き取り手が無かったことから藤邦の養護施設を預けられた。





物心つく前はあまり覚えていないけど、物心ついてからのそれはよく覚えている。





僕達、二人に向けられる視線が他の子供達に向けられらるものと違う。




殺人鬼の子供──、かかわり合いたくない。





そんな感情が込められた視線を向けられていたことをよく覚えている。




だから、僕達はいつも二人でいた。





お互いに味方は自分達だけだと思っていて、他の子供達と馴れ合うこともしなかった。





そんな時だった、あの人達が現れたのは──。





< 326 / 541 >

この作品をシェア

pagetop