紅の葬送曲
僕と紅緒が4歳になった頃。
「君達が紅斗君と紅緒ちゃんかな?」
一人の男の人と彼に抱かれた子供が二人で遊んでいた僕達の元にやって来た。
「誰?」
怖がった紅緒は僕の後ろに隠れて、僕はそんな紅緒を守るように男の人を睨み付ける。
「俺は寿永周、こっちは息子の凌。よろしくね」
そう言って、その人は僕達の方に手を伸ばしてきた。
「僕と紅緒に触るな!」
僕がその人の手を払いのけると、彼は驚いたように目を見開いた。
この頃はもう誰も信用できなかった。
皆が僕達を蔑んだ目で見て、誰一人として味方になってくれなかったから。
すると、その男の人は再び僕達の方に手を伸ばしてきた。
もう一度払おうとしたけど、彼の手の方が早かった。