紅の葬送曲
「紅斗は俺より一つ下だったから一年遅れで入った。たまたま入学式で見かけて紅緒に雰囲気が似ていたから聞いたんだ、『双子の妹がいたりしないか』ってな」
「……それで?」
「そしたら、紅斗に掴み掛かられたよ。『紅緒を知っているのか』って怖い顔をされながら」
琉ちゃんは苦笑いを浮かべながら紅斗を見た。
紅斗は顔を上げ、赤い瞳で私たちの方を見ていた。
「あそこで琉介に出会えて良かった。そうじゃなかったら、紅緒の居場所は分からなかったし、安倍明晴とも接触できなかったからね」
つまり、紅斗はずっと私の居場所を知っていた?
「でも、本格的に接触したのは紅緒が警察になるのを待った」
「何で……?」
「凌君が紅緒を見つけたら、傍に置くと思ったからだ。凌君の傍にいれば、紅緒は安全だと踏んでね……」
紅斗はそう言って笑った。
紅斗は自らを危険に晒しても私を守ろうとしてくれた。
それを知らなかったとはいえ、私はこれまで紅斗を拒み、嫌悪していた。
それなのに、紅斗は私を第一に思ってくれていた……。
「紅斗……、今までごめん……。紅斗はずっと私を守ってくれてたのに、私は……」
謝ってどうにかなるとは思えないけど、謝らずにはいられなかった。