紅の葬送曲
「まあまあ、凌君。試しに紅緒にやらせてみなよ」
すると、紅斗が飄々と寿永隊長の肩をポンポンと叩いた。
それを振り払った彼は小さくため息を吐くと拳銃を下ろし、
「やってみろ。でも、お前の危険を感じたらすぐに止めさせるからな」
と言って私の肩を軽く叩いた。
私は頷くと拘置所の鍵を開けて、アンジェロさんに近付いた。
そして、彼女が警戒しないようにしゃがんで、彼女の視線の方が上になるようにした。
人はどうしても上から見下ろされると萎縮してしまうから。
「あの時はすみませんでした……。痛かったですよね……」
私はまず、彼女を怪我させてしまったことを詫びた。
あの時は何であんなことをしたかはイマイチ記憶がない。
でも、あれが私の中に潜んでいた本心なのだと理解した。
やっぱり、私は切碕の娘なんだと改めて実感した。