紅の葬送曲
「これからいくつか質問するから答えろ。まあ、答えなければ、菖のようになるだけだがな」
寿永隊長はそう冷たく言い捨てた。
アンジェロさんの顔には私が蹴り飛ばし、踏み潰したことで出来た傷が残っている。
それ以上のことを答えなければ行われると感じた彼女は顔面を蒼白にした。
「まず、お前は菖に化けて此処に来た?」
「……………………」
「……何故、奴に付き従う?」
「………………」
「……答えろ。……それとも、殺されたいのか?」
寿永隊長は無言を貫く彼女に痺れを切らし、持っていた拳銃の銃口を彼女に向けた。
寿永隊長、短気すぎでしょ……。
「寿永隊長、私に彼女と話をさせてください」
私は見ていられずそう申し出ると、彼は眉間に深々とシワを寄せる。
「……何故だ?」
「寿永隊長の顔と口調が怖いんですよ。ただでさえ、敵の陣地で警戒しているのに更に警戒してしまうだけです」
私の歯に衣着せぬ言い方に、寿永隊長はムッとした。