紅の葬送曲


「痛っ!」




つつかれるとやっぱり青アザは痛んで、自然と顔をしかめてしまう。





「アリスさん、怪我人に何してるんだ?仮にも君は医師免許を持っているんだろう。なら、彼女の怪我の具合くらい──」





「和泉の小言は聞きたくなーい!小言ばっかり言ってると禿げるよ」





「……この人が俺より4つも上なんて有り得ない」




楽観的な藤邦さんの態度に対して、旦那さんの態度は神経質そうだ。





この二人が夫婦なんて意外だった。






すると、閉められていた病室のドアが開けれる。





「浅井ちゃん、起きたんだね!良かったー」





入ってきたのは小鳥遊君と羽取さん達だった。






「駆けつけたときは驚いたよ。紅緒ちゃん、全身傷だらけで倉庫の前に汀といたんだもん。倉庫の中には伸びた男達がいたし……」





「え、小鳥遊君が助けてくれたんじゃないの?」





私の言葉に、ベッドに近付いてきた小鳥遊君は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。





「え、違うよ。俺は君と汀が誘拐されたって匿名の通報を受けて……。そしたら、また匿名で君達の居場所を伝える電話があったんだ」





あれって小鳥遊君じゃなかったんだ。





じゃあ、あれは──。





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