紅の葬送曲


そして、頭が出る。





──そう思った、その時。





展望デッキのガラス張りの天井がけたたましい音と共に砕け散り、ガラスが上から降ってきた。




「!?」





誰もが驚いてガラスから身を守りながら天井を見上げた。






そこには一機のヘリが低空飛行していて、ヘリの機体の下の部分には展望デッキのガラス張りの天井を破壊したと思われるガトリングガンが装着されている。






そんなことよりも私はヘリの機体に刻まれた名前に目を疑う。





ヘリの側面部には≪HISANAGA≫の文字が刻まれていた。






何で此処に寿永の自家用ヘリが?





あの人は行方不明なんだ、こんな危険な所に来れる人材が今の寿永にはいない。






すると、再びガトリングガンが発射され、砲弾が安倍明晴を襲った。






床のコンクリがガトリングガンにより剥がされ、粉塵が上がって周りが見えなくなった。






粉塵が目や口に入らないように服の袖で覆った。





恐らく、安倍明晴はもろにガトリングガンを食らっているはずだ。






でも、安倍明晴は陰陽師の力が使える。






その力で身を守っているだろう。








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