また君に恋をする
「桃…、」
「おばあちゃん。」
小さく私を呼ぶと、また目に涙を溜める。
どうしたの?
なんでみんな泣くの?
おばあちゃんの後ろには、白衣を着たお医者さんと看護師さんがいた。
「じゃあ俺はこれで。」
「春翔、」
せっかく来てくれたのに気を利かせて、席を立った春翔。
そんな春翔を呼び止めている自分がいた。
「ま、また…ね?」
離れていくんじゃないか。
彼が、遠くに行ってしまうんじゃないか。
そう思うと居ても立っても居られなくなった。
「また来ます。」
だけど春翔はいつもみたいに笑って部屋を出て行った。
春翔と入れ違いで、部屋に入って来たおばあちゃんとお医者さん。
嫌な空気が漂う。
お父さんとお母さんが死んだ時にそっくりな空間。