LAST WISHI



・・・そうか


“サイゴ”って“最期”のことか。


「こんな時間まで、なんで待ってるんだよ…」


咲の前に立って時計の針を見ると、長針と短針が重なり合うところだった。


「ごめんな。約束、守れなくて。」


咲の頬に触れるけど、透けた手じゃ触れられない。


「春樹?どこ!?」


結局、また泣かせてしまった。


ごめん。


ごめんな。咲。


お前が俺と見たかったのは、これ…なのか?


“イチゴを好きな人と見ると二人は結ばれる”


天辺にあるイチゴを見る。


あぁ綺麗だ。


「あたし…!!」


見えもしない俺に必死に呼び掛ける咲。


カチッ


長針が12を指したと同時に、ヒラヒラと白いものが空から降ってきた。


「ホワイトクリスマスか…」


小さく声に出し咲を見ると、


「春…樹?」


目を大きく見開いた咲と視線が交わった。


どうして?


見えるはずなんてないのに。


俺はもう…


「春樹!!」


飛びついてきた咲を受け止められる。


咲の温もりも、懐かしい香りも分かる。


やっと、見つけた。


咲を強く抱き締めると、


「好き。」


耳元ではっきり聞こえた言葉に、


「俺も…ずっと好きだった。」


生前は言う気もなかったし、到底言えそうにもなかった言葉が、自然と出てきた。


「だったらもっと早く言ってよ。」


咲は泣き笑い。


良かった。


咲の笑顔が見れた。


だから、俺も最期は笑顔でいよう。


「幸せになれよ。」


「え…?」


咲から離れて、俺は今できる最高の笑顔を作った。


俺の一番大切な人よ


どうか


どうか、幸せになってくれ。


最期に会えて良かったー・・・


< 10 / 13 >

この作品をシェア

pagetop