LAST WISHI



「おい、いい加減にしろよ。お前誰だ?どこ向かってんだ?」


「春樹さんは凄いですね。」


「だから人の質問をー」


人が話している最中なのに、少年はパチンと指を鳴らした。


?!


ふと眩しい光に目を細めて見上げると、オレが主役だと言わんばかりに派手なライトを点滅させるツリーが目に入った。


ここは?


ツリーは知らないが、この場所は見覚えがある。


さっきの眩しさにも…


「ほとんどの人は、僕を見て最初に“誰だ?”って口にしてしまうんです。でも、あなたは口にしなかった。」


隣で同じようにツリーを見上げる少年の存在を一瞬忘れかけていた。


「それに、記憶が飛んでいたにも関わらず大事なことは忘れていなかった。だから、あなたの本当の望みを叶えることが出来る。」


本当の望み?


「このツリーには、伝説があるそうです。頂上にあるイチゴを好きな人と見ると、二人は結ばれるんだとか。」


少年はふと視線を落とす。


つられて目線を移すと、どことなく寂しげにツリーを眺めている女が一人、佇んでいた。


「僕は最期の願い事を叶える執行人。」


「綺麗…」


女は今にも泣きそうな顔でツリーを見上げていた。


その横顔に、急に胸に激しい痛みが走った。


なんだ?なんなんだこの痛みは?


「人は皆、死の直前に最期の願い事を叶える権利があるんです。」


「一緒に見たかった…」


その場にしゃがみこんだ彼女を見て、体が勝手に動いた。


「咲…!」


え?俺、なんで名前知ってるんだ?


走りながら自問自答。


彼女は動きをピタッと止めると、


「春樹…?」


キョロキョロと辺りを見渡した。


それで思い出したんだ。


そうだ。俺はー


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