溺愛プリンス~秘密のフィアンセ~
「…離れてからも、毎年誕生日プレゼントは送ってたのに」

「…両親が、誰からの贈り物だと言っていたのかわからないだろ?」

「…日本に帰ってきたときは、必ず美々を見に行ったのに」
「…直接会った訳じゃないだろ?」

全て正論で返されて、ルイは更にシュンとした。

「…出直してくる」
「…そうしろ。今度からは、正攻法で行くことだな」

「…美々を抱きしめたい」
「…しつこい、さっさと帰れ」

呆れ気味にそう言い放ったシェフを、ルイは恨めしそうな顔で見た。

シェフはシッシッと、手で追い払うと、ルイは、渋々帰っていった。

…。

やっと落ち着いたのか、着替えを済ませた私は、片付けをしている厨房を覗きこんだ。

「…美々」
「…シェフ、色々すみませんでした。あの、これ、お返しします」

脱いだ服、アクセサリー、靴。

全ての入った紙袋をシェフに返す、が、シェフはそれを突き返した。

「…本当は」
「…え?」

「…今日、ルイは誕生日じゃない」

シェフの言葉に首をかしげる。

「…今日は、美々、君の誕生日のはずだよ」
「…ぁ」

目まぐるしい毎日に、自分の誕生日の事など、すっかり忘れていた。


「…それは、ルイから、美々へ、バースデープレゼントだよ。受け取ってあげなさい」

「…なっ、そんな、見ず知らずの人から、こんな高価なもの頂けません」

「…アイツは、金をもて余してるんだ。ラッキーと思って、貰っときなさい」

そう言われ、どうしても受け取ってもらえなかったので、もって帰るしかなかった。
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