素敵な王子様の育てかた。
「ええ。ですが重要なお話をしたいのではないらしく、形式もお茶会という軽めのものになりますし、参加はリフィト王子のみですので、そう深刻に考えなくても問題ないと思われますが」

「そうなんだが……しかし」

そう言ったきり悩むような仕草を見せ、口噤んだ。

なにをそんなに不安に思うことがあるの?
幼い頃に遊んだ仲じゃない。

そう思うが、王子の心の中は私が考えるよりも複雑なようだ。

「まだお会いしたくないと?」

「うん、まあ。簡単に言えば」

「ですが王子、これまであなたがこの部屋に閉じこもっている間、リフィト王子は王子の仕事まで引き受け、こなしてきているのですよ?そんなリフィト王子がわざわざ時間を作って、王子と会って話がしたいと言っておられるのです。この機会を逃してしまうと、次いつ、ゆっくりとお話できる機会があるか、分かりませんわ」

なにせリフィト王子は忙しい。

この機会を逃せば、次時間がとれるとも分からない。
もしかしたら二度とないかもしれない。

王子の心の中になにかわだかまりがあるとするなら、この機会に思い切って吐き出してしまうのもありだろうと思う。

その勇気が王子にあれば、だが。

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