素敵な王子様の育てかた。
「王子……」
安堵のため息が漏れる。
しかし王子が助けてきてくれたことに嬉しく思う反面、困惑もしていた。
なぜこんな形で、私をリフィト王子から引き離したのか。
しかもこれだけの人の前で、わざわざ大事になるような行動を?
「兄さん、ダンスを邪魔するなんてマナーに反しているよ」
リフィト王子は少しムッとした表情を浮かべて王子を睨んだ。
王子も同じようにリフィト王子を睨み返す。
「マナーに反しているのは、お前だろう?勝手にララと踊って。ララは俺付きの侍女だぞ?」
「でも今はだたの伯爵令嬢じゃないか。それに夜会の場で誰を誘おうと僕の勝手じゃない?」
「それでもララだけはダメだ。俺が許さない」
「なぜ?ララは兄さんの侍女というだけで、それ以上もそれ以下もないでしょう?」
"それ以上もそれ以下もない"
その言葉が私の心に刺さる。
そう。
私は王子の侍女というだけ。
なのに、なぜこんな思わせぶりなことを王子は言うの……?
「いや……」
王子は否定する言葉を言ったところで、一瞬口篭もった。
だが、直ぐにとんでもない発言をリフィト王子に向ける。
「ララは俺の婚約者となる人間だ。ララは俺のものだ。だから、誰にも触れられたくない」