素敵な王子様の育てかた。
「ではララ様、こちらでお待ちくださいませ」


私が通された部屋は、接見の間。
デビュタントで一度きり入っただけの場所だった。

窓側の壁には綺麗に椅子が並べられ、中央には赤い絨毯が引かれており、その先には玉座がある。
天井には神々が描かれ、中央にはキラキラと輝く豪華なシャンデリア。


その光景は前となにも変わっていない。

あのとき――……、そう、私が16歳になったとき、初めて訪れた場所。

後ろから数えて二番目にある椅子に、ガチガチに緊張しながら座って、国王様と王妃様の前で言う挨拶の定型文を繰り返し呟きながら、その順番を待っていたわ。

初めてお会いする国王様夫妻に、とにかく失礼がないようにと必死だった。

特に私にとって王妃様は憧れのお方だったから、余計。


……懐かしい。
もうあれから二年経つのね。


基本的に伯爵位の令嬢なら、国王様クラスのお方と面と向かってお話しできるのは、デビュタントでくらいで、それ以外はほぼ話をする機会はない。

もう一生話すことはできないだろうと、あのときは思っていたのに、まさかこんな機会が訪れようとは。

……人生って分からないものだわ。

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