素敵な王子様の育てかた。

以来、私は本を読むのに夢中になった。

もちろん最後はハッピーエンドになる、お話ばかりだけれど。



とにかくなにか欲しいか?と聞かれれば、必ず本!と答えていたし、どんなときでも本を欠かすことはなかった。


それにいつの間にか、男性の理想像がそんな本に書かれているような素敵な男性になったのは言うまでもなく。

とはいえ、そんな男性なんて探したって、そういるもんじゃない。


とっくにデビュタントは済ませ、私も18歳。

そろそろ相手を見つけてもいい頃合いではあるのだけど、やはり高い理想像の前に、しっくりくるものがなく、未だに相手は見つからない。


けれど、別にそれ自体は気になどしてはいないわけで。

なぜなら自分には兄と姉がそれぞれひとりずついて、皆結婚をし子供もいる。

この家はいずれ兄が継ぎ、そしてその子が兄の後を継ぐ。

仮に兄一家がなにかあったとしても、姉の子供は男ばかり3人だから、そこから継げば問題はない。


つまり伯爵家としては存続の危機になる問題はすべて払拭されているわけで、そういった意味からも私が焦らなくてもいい要因となっていた。

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