素敵な王子様の育てかた。
――翌日。
私は前日と変わらず、王子の部屋の扉を叩いた。
相変わらず返事も物音ひとつしないけれど、諦めずに部屋の中の王子に向けて声をかける。
しかしその扉が開くことはない。
まあ、あたりまえか。
本人は侍女なんていらない、ましてやしつこい人間は嫌いだと言うし。
私がいると分かった以上、王子はこの扉を開けることはしないだろう。
だからこその部屋の鍵。
これを使えば、いとも簡単にこの中へ入っていけるわけだけど……。
でもなるべくなら使いたくはないのが本音。
むやみやたらに本人の許可なく、大切にしている空間に踏み入れるのは良くないことだと思うから。
できれば、私のしつこさに折れて心を、少しでもいいから開いてくれることを祈るのみなのだけど。
昨日のこともあり、当分は声掛けと食事を部屋の前に置くだけにして、それ以上の目立つ行動を控えることとした。
王子もかなり警戒しているだろうし、私がいるかもしれないと、食事すら摂らない状況になってしまってはそれこそ困る。
だから、一旦諦めた体を見せて王子を油断させる作戦。
ほどぼりがさめた辺りで、また接触を図ろうと考えたわけ。