王子様とハナコさんと鼓星


「思えばデートらしいデートをした事がないよね」


(確かに。ご飯とか夜に星を見ただけかも)


「これから、出掛けられる時はお互いを知るためにデートをしよう。こうやって家にいる時はご飯を一緒に食べようね。しないと思うけど、喧嘩中でも」


「はい。寮にいる時、実は1人でご飯を食べるのが寂しかったんです。だから緊張しますけど…こうやって誰かと食べられるのは良いですね」


止めていた手を動かしてカレーを食べると、今度は凛太朗さんが手を止めた。


「まだ緊張してるの?」

「しますよ」

凛太朗さんといる時はいつも緊張する。慣れないとって思うけど、なかなか慣れない。


「スキンシップが足りないからかな?もっと、触れ合えば慣れるよ」

「そう言う事を平然と言うので、余計緊張しちゃうんですよ?」

「おっと。それはごめんね」

悪いと思ってないよね。薄ら笑いを浮かべながら食べ続ける彼にそう思った。
< 170 / 325 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop