王子様とハナコさんと鼓星
「い、いいの。手なんか出して欲しくないから。社長は高嶺の花、王子様なんだもん。私も桜と同じで目の保養でいいんです。昨日はいい思い出って事にしよう」
「ふ〜ん、そう。私が社長の立場なら自分を知らなくてどなたですか?なんて言われた女の子に興味は湧くけどな。振られたことなさそうだし…敗北感って言うのかな?アレは興味の対象になる理由は十二分にありますよ」
「さ、さくら…それ、根に持ってるんだから」
その事は本当に失礼だっと自覚している。大きなため息を吐いて、更衣室を出ようとドアを開ける。
すると、背後から名前を呼ばれ振り向くと腕を組み口をへの字に曲げている志田さんがいた。
「ちょっと、こっち来て」
「あ、おはようごさまいます。ごめん、桜!またね!」
お互いに手を振り志田さんあとを追う。
ミーティングルームに入るとそこには主任と既に出勤してたスタッフの姿。
挨拶をしてからドアを閉める。なんだか嫌な雰囲気が漂っていて、恐る恐る出方を伺っていると志田さんが振り返りドンっと大きな音を立てテーブルを叩いた。
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