優しいさよなら


佐橋はノリが軽くて、いつも同期会の幹事をしてくれる気のいいヤツだけど少し酒癖が悪い。

ついこないだ、大学時代から付き合っていたカノジョにふられたらしく、今日は普段より多少荒れ気味かもしれない。



可哀想なヤツ。





そう思うと何となく同志な気がして頭を撫で撫でしてやった。


「・・・何や?」


胡乱な目で問いかけてくる。



「いや、お互いええ相手見つけよなっていう励まし?」


暫し無言で見つめ合っていると佐橋が正面から抱きついてきた。


「高村あっ!お前ええヤツ!40になってもひとりやったらオレが嫁にしてやる!!」

「わあっ!!やめろ、佐橋!酒臭い!汗臭い!ないから!40まで一人とか縁起悪い!」


170cmそこそこでそんなに大きくない佐橋でものしかかられると流石に重い。


周りはゲラゲラ笑いながらそんなわたしたちを見ている。うーっと唸りながら佐橋を引き剥がそうとするけれど余計にギュウギュウ力を込めてきた。


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