元社長令嬢は御曹司の家政婦
「大した理由もなく、辞めろだなんて理不尽過ぎます!」


私を必要としているところは山ほどあるでしょうけど、ここで妥協したのはそこそこ待遇が良かったから。
今から同じ条件の会社を探すのも面倒だし、何より今解雇されたら、来月の美容院代やエステ代はどうすればいいの?

九条秋人との距離をつめ、断固として抗議したけれど、腹立しいことにその鉄仮面はピクリともしない。


「大した理由もなく......?
ここ一週間の自分の業務態度を胸に手を当ててよく考えてみてほしい」

「正当な理由もなく、そんな抽象的なもので解雇されるなんて横暴です!労働基準法違反じゃないんですか?」


労働基準法だった?よく分からないけど、とにかく正式に採用された社員がわずか一週間で解雇されるなんてあってはならないこと。

猛抗議を続けていると、九条秋人は小さくため息をつき、デスクから私のパパ直筆の手紙を取り出してきた。

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