元社長令嬢は御曹司の家政婦
「そして、三つ目だが?」

「その前よ!前!」

「ああ、私の妻となること?」

「そう!それよ!何で私があなたの妻にならなきゃいけないの!?」


こんなことを済ました顔で告げる九条秋人も何を考えてるか分からなければ、私と九条秋人が結婚する意味が分からない。何でいきなりそんな話になるの?

もしかして、私に一目惚れしたのかしら?
こんな美女をみれば欲しくなってもおかしくはないけど、それにしてもいきなりプロポーズだなんて急すぎない?


「甘やかして育ててしまったせいで、わがままな娘に育ってしまったが、私も人の親だ。やはり自分の娘には幸せになってほしい。本当なら、一人の社会人として真っ当に生きていってほしいが、今のあの子にはそれは難しいだろう。そこで、もしあの子がどうしようもなくなったときは、私の信頼する男の息子である秋人くんに娘を託したい。大変勝手ではあるが、どうか娘をよろしくお願いします、とこの手紙には書かれていた」


しかし私が考えていた理由とは、全く別の理由だったらしく、九条秋人は再び手紙に目をやりながら、淡々とそれを読み上げる。
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