元社長令嬢は御曹司の家政婦
気をはっていたからか、さっきまではまっすぐに立っていられたのに、部屋に入ると急に力が抜けてへたりこんでしまう。

......こんな状態で、よく猫を病院につれていけたわね。外出するときは運転手がいるのが普通だったのに、この私が雑種の捨て猫ごときにこんなに必死になるなんて......。


猫と、それから秋人と暮らしはじめて、今までの私ではありえないことばかり。

誰かに使われる、誰かのために何かをするなんて大嫌い。
思い通りにならないことなんて大嫌い。

猫も秋人も、全く私の思い通りにならないし、腹立たしいけど......、でも、不思議と、この二人と一匹の暮らしがそこまで嫌ではないのは、どうしてなんだろう。


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