元社長令嬢は御曹司の家政婦
次の日、私は早速行動に移し、職探しを斡旋してくれる場所を訪れていた。


「希望職種は、......人の上に立つ仕事、ですか?」

「当然ね。この私が人に使われるなんてありえないもの」

 
履歴書と私を見比べながら、職探しの面談をしている張りけたような作り笑顔の職員に言葉を返す。


「......。何か資格やご経験は、」

「そんなものなくても、私を見れば必要な人材だと分かるでしょう」

「えっと、年収1000万以上で完全週休二日制で休日出勤残業なし、年に二回のバカンス休暇?をご希望ですか」

「当たり前でしょ?年に二回は海外旅行したいし、残業なんてありえない。1000万なんて低すぎるけど、最低でもそれくらいは欲しいわね」


いちいちそんな馬鹿げたこと聞かないでほしい。
休日出勤や残業がある企業なんてブラックもいいところだし、年収1000万以上にも満たないところで働けるわけがない。

当たり前のことを答えると、職員は作り笑顔を一瞬だけひきつらせた。
< 8 / 70 >

この作品をシェア

pagetop