年上のアナタと大人の恋ができたなら
駿介side Ⅰ
その日は朝から事が動いた
専務室で仕事をしていると紺野が入ってきた
「専務、受付に東雲綾乃様とおっしゃる方がお見えになっているようですが
如何いたしますか?」
マウスを持つ手が一瞬ぴくっと動いた
「東雲綾乃?・・・分った下に降りてくる
ちょっとの間ここを頼む」そう言いながら専務室を出る
「承知しました」と背中に声が聞こえた
俺は急ぎエレベーターに乗りこむと1Fのボタンを押した
1Fに着くとすぐにソファーに座る彼女を見つけた
彼女は俺に気がつくと立ちあがりにこにこしていたが
俺は眉間にシワを寄せながら彼女の前に来ると
「何の用だ?」と無愛想そのままにひと言発した
「昔の恋人に随分冷たいのね、そういう所は今でも変わってない」
「何の用だ」
「これ」と言って雑誌を見せてきた
「表紙に載っていたからびっくりしたわ、今専務なんですってね
立派になったわね」
「だから?」と彼女を睨むと
「何だかこれ見てたら急に会いたくなってね、来てみたの」
「寄りを戻したいとかなら俺は今つき合っている女性がいるから無理だぞ」
と言うと彼女は一瞬無表情になった