副社長と秘密の溺愛オフィス
「本当に綺麗ですね。でも高そう」

 こういう場面ですぐに値段を気にしてしまうのが庶民だと思う。けれど口にしてしまったものは仕方ない。

「値段知りたい?」

「まさか、紘也さんの給料三ヶ月分なんて言わないですよね?」

 わたしの言葉に彼が肩をすくめてみせた。

「えぇえ~!」

 驚いたわたしの顔を見て、彼は声をあげて笑った。

 さっきまで暗い気持ちでいたわたしだったけれど、彼と話をしたことと指輪の衝撃で、タクシーを降りるころには笑顔になっていた。
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