副社長と秘密の溺愛オフィス
「わかった。わたしから連絡いれておきますから、とにかく今は横になって」

「あの、わたし自分で……」

 しかし強引にベッドに押さえつけられた。

「いいこと、とにかく今は休みなさい。わかった?」

「はい」

 最初こそは上品そうだと思った女性だったが、今は有無も言わせぬ強さを感じて思わず「はい」と返事してしまった。

「よろしい。じゃあ、後は看護師さんたちにお願いしておきますからね」

 わたしの答えに満足したのか、瞬時に柔らかい笑顔を浮かべた。

「あの、はい。よろしくお願いします」

 わたしはこれ以上逆らわなかった。

 皆が病室から出ていくころ、痛み止めのせいか眠気が襲ってきた。

 眠りに落ちるその瞬間、わたしが最も気にしていたのは呑気にも今いる個室の病室の代金がいくらぐらいなのかということだった。
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