クールアンドドライ
 ひろにぃが「何でそんなに篤のこと嫌うの?」と、不思議そうに訊いてくる。

「だってー、凄い怒鳴るし、怖いし、それにね、やり方が分からないって言ったら、そんな事自分で考えろって怒鳴ったんだよね、あの人。」

「それで、嫌いになったって事?」
確認するように、姉が聞いてきた。

「そういう事。」

「じゃぁ、怒鳴るのが嫌ってことか?」

ひろにぃにしては、ずいぶん掘り下げてくるなぁ、そう思いながらも、答える。

「それも嫌だけど、すぐに自分で考えろって言ったのが、嫌。なんかさぁ、それって面倒くさいから、突き放してるだけでしょ?」

「うーん、部下を育てたくて、言ったんじゃねーの?」

「私だって、馬鹿じゃないもん判るよ、面倒だからそう言ったのか、育てようとしてそう言ったのかくらい。あの人は、絶対に面倒臭いって感じだった。
 それにね、部下と向き合うのが面倒だって、そう思う上司は無能だと思うの。だって、そうでしょ?部下に仕事教えるのも上司の仕事でしょ?なのに、何のアドバイスもなしって、無能だからでしょ?」

「なるほどね~、だから、咲希ちゃんは、篤にああ言ったんか。」

ひろにぃが、やっと分かったと言う感じで呟いた。
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