クールアンドドライ
 8月の半ば頃、営業三課の飲み会が行われることになった。
 そして、厄介な事に、私の歓迎会も兼ねてくれるらしい。
 本当にいい迷惑だが、断るわけにもいかず、ずるずると、居酒屋に向かうはめになった。

 結構な広さの和室で、お座敷だった。
嫌だなぁ。今日は、課長も出席するらしい?
ああ、嫌だ。

 そんな事を考えている内に、席も埋まり、飲み会が始まった。

 一応、私の歓迎会も兼ねていると言うことで、乾杯の後、挨拶をさせられた。
その後は、ただの飲み会と変わらなかった。

 営業三課の女性陣は片隅に固まっている。
後輩になるんだけど、年上の小田さんの隣に座った。私は、短大出身なので、普通の大卒で入社してきた後輩が年上ってことになる。
ちょっと変な感じだが、小田さんはしっかり者だし、営業三課では先輩なので、普通の先輩と同じように接している。
 
 その、小田さんが「課長に挨拶に行く?」と聞いてきた。
 課長の方を見てみると、挨拶に押しかけていた人達が、元の席に戻っていくのが見えた。
「行かなきゃダメですかぁ?」少し、涙目で訴えてみた。

 「ダメでしょうね。課長、さっきから、チラチラとコッチ見てるしぃ。」
何故か、ニヤニヤした感じで、言われた。

 げーーっ!
心の中で叫んだ。
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