クールアンドドライ
 とてもいい感じに酔っ払って、店を出た。
てっきり、店の前で解散かと思いきや、私の自宅まで送ってくれるようで、私と同じ方向に歩き出す。
 なんか、なんていうか、くすぐったい。
こういうのって、女の子扱いっていうの?
思わず、顔が緩んでしまう。
「すみません、わざわざ送っていただいて。」
むふふと変な笑い声が出そうになるので、なるべく真面目にそう言った。

「別に、大した距離じゃないからな。」
「でも、こういうのって初めてで、ちょっと嬉しいっていうか・・照れます。」

「そうなのか?彼氏に送ってもらったりしなかったのか?」

「ずっと、実家にいたから、門限があって、夜遅くまで遊んでられなかったんです。だから、そんな事してもらう必要もなかったんです。まぁ、学生でそこまで気が利く人って、少数だと思いますけど。」

 「そうか?好きな女だったら、普通に一緒に居たいって思うだろ。」

「課長って、見かけによらず情熱的なんですね~。ちょっと、羨ましい。」

「羨ましい?」
課長が、解らないと言った風に首を傾げる。
ああ、課長は、適当に彼女が欲しくて付き合うとか、しないんだろうなぁと思った。
普通はそうなのか?

 「ちゃんと、好きな人と付き合ってきたって事ですよね。」
「好きだから、付き合うんだろ?」

「まぁ、そうですよね。課長はモテそうだし、
あまりフラレたことも無さそうだし。でも、相思相愛で付き合ってるカップルばかりじゃないですよ、実際は。」
 
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