【短編集】ひとりごと
○○さんのクリスマス・イブ
いつもと同じ街並み。
いや、いつもと違うのか?

辺りを見渡せば、
ぴかぴか光るネオンが飾られていたり、
やけに明るい音楽がかかっていたり...

「あ、そうか。クリスマス・イブか。」

あー、気が付かなければよかった。
もう、そんな時期だったのか。

仕事以外は一切家を出ない
ドが付くほどインドアの俺は
この時期が大っ嫌いだ。

去年だっただろうか、
友人に「どうしても!」と頼まれて、
クリスマスパーティーに行ったことがある。

でも、途中で急に電話がかかってきて、
人手不足だから仕事を手伝えって...
他のやつは全員断ったようだ。

まあ、それもそうだよな。
こんな時期に急に仕事なんて。

そんなことを言いつつも、
お給料アップのために
ちゃりちゃり稼いできてしまった。

「人生、そんなもんだよな。」

悲しすぎる去年の思い出を振り返りながら
そう呟いたとき______

プルルルル...

「あ、はい。もしもし。」

誰かから電話がかかってきた。

「あ、サンタさん!
もう、どこフラついているんですか!」

...相手はお怒りトナカイのようだ。
やっちまったな。相当怒っていやがる。

「はいはい、わかってますよー。
そっちに行けばいいんでしょ。
そんなに怒んなって。」

「もう!急いでくださいね。」

プツッ...



「...よっし!」











そして、今年のクリスマスも
仕事で埋まった。









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