運命的政略結婚~白衣の悪魔に魅入られて~


甘えるような瞳でおねだりされて、いいとも悪いとも答えられずただ困ったように彼を見つめることしかできない。

そんな私を見て、天河さんはちょっと申し訳なさそうに苦笑して、それからまた私の背中を抱き寄せた。

今度は欲情交じりでなく、静かに愛を確かめ合うような、優しい抱擁で。



「ゴメンね……きみは、俺がずっと探していた、たった一人の相手だから……すぐに見境がなくなる。でも、困らせたいわけじゃないんだ。ただ、きみが愛しくて……」

「天河さん……」


……わかっています。

あなたが悪魔になるのは私の前でだけ。そして、私を愛してくれているからこそ、ちょっぴり意地悪になってしまうこと。

心の中でそう伝えながら、私も広い背中に腕を回してぎゅっと彼にしがみつく。


「きみと初めて出会った時に感じた運命を信じてよかった。……必ず幸せにするって、誓うよ」

「私も……です。天河さんを、幸せにしてあげたい」


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