運命的政略結婚~白衣の悪魔に魅入られて~


「天河さん、メイク……取れちゃい、ます」

「……ゴメン。でも、止まんない」

「や、ン」


さすがにキス以上のことには踏み込んでこないけれど、息継ぎのために緩んだ唇の隙間から舌をねじ込まれ、次第に結婚式には似つかわしくない、濃密で不埒なキスへと変わっていく。


「て、んが、さ……もう……っ」


そろそろ終わりにして、というつもりで天河さんの腕をぽんぽんと叩いてみるけど、全然伝わらないどころか、キスの合間にこんな怖いことを呟く彼。


「くそ……ドレスの脱がせた方がわかればな……」


吐息交じりの悔しそうな声には抑えきれない欲情が滲んでいて、ドキン、と心臓が大きく波打った。

……って、ときめいてる場合じゃない!

ガバッと体を離した私は、彼をたしなめるつもりで強く言い放つ。


「き、着せ方までわからないとダメですっ!」

「……着せられる自信があるならこの先までシてもいいってこと?」


ま……まさか自信がおありで……? だとしてもダメダメ!


「い、いいわけないですっ!」

「……残念。でも、今夜は新婚初夜だ。教会で神様に愛を誓うときにはいい子にしてるから、夜は悪魔にならせて?」




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