運命的政略結婚~白衣の悪魔に魅入られて~
「えっ?」
その、サイボーグを? 私が目をぱちくりさせると、真帆が苛立ったように拳を持ち上げ、テーブルをドン、と叩いた。
「だから……美琴に言いたいのは、“ムカつく”と“好き”は、意外に共存するってことよ!」
「わ、わかった真帆、一旦落ち着こう? 個室とはいえあんまうるさくしちゃ悪いし」
ねっ!と言い聞かせるけれど、殺気立っている親友にぎろりと睨まれてしまう。
「なによぉ、自分は明日デートだからって……」
「それは関係ないって。ほら、今夜は飲もう、真帆!」
無理やり彼女を元気づけようと、その夜は予定よりも派手な酒盛りをすることになってしまった。
よくよく聞いてみれば、藍澤先生を評価していた彼と親しい医者、というのはそのサイボーグ医師で、藍澤先生が神鳥記念病院に移ることを、最後まで反対していたのだそうだ。
悪魔とサイボーグ……人間じゃない者同士、気が合ったのかなぁ。
最終的にそんなくだらない思考になるくらいひどい酔っ払いと化してしまったけれど、真帆の放ったこの言葉だけはしっかり胸に焼き付いていた。
“ムカつく”と、“好き”は、共存する――か。
私は、どうなんだろう。藍澤先生に振り回されながら、やっぱり少しは、彼に惹かれているのだろうか……。