眠らせ森の恋
……誰がお友だちだ、と思いながら、西和田は給湯室の前で二人の話を聞いていた。
あんなことを言ってはいたが、本当につぐみが英里にやられないだろうかとちょっと心配になって覗きに来たのだ。
しかし、なんだかんだで楽しそうにやってるな。
あの英里でさえ、つぐみのペースに巻き込まれて、いまいち本領発揮できないでいる。いや、小局様に本領発揮していただかなくていいのだが。
それにしても、専務に報告できない、どうでもいい情報ばかり入ってくるな、と思っていると、
「あれ? 西和田さん?」
と声がした。
見ると、何処かから、お茶を下げて来たらしい正美が立っていた。
別に覗いてたんじゃないぞ、というアピールのために、特に慌てることもなく、軽く頷いて、極自然に立ち去った。
……つもりだったが、効果があったかはわからない。