眠らせ森の恋
 



 正美が近くにいい店が出来たというので、そこに三人で行くことになった。

 割り勘で。

「西和田さんはなんであんたに構うのかしら?」
 濃厚な魚介類のパスタを食べながら英里が言う。

 相変わらずガッツリだな、とそれを見ながら、
「駄目な子ほど可愛いって言うじゃないですか。
 英里さんも、駄目な子になったらいいじゃないですか」
と言うと、

「えっ。嫌よ。
 あんたみたいな、満足に客にお茶も出せない落ちこぼれになるなんて」
と言ってくる。

 タルタルソース、頭からかけちゃおっかな~っと思いながら、タルタルソースを器から白身魚のフライにかけていると、

「そういえば、ねえ、あんたの彼氏ってどんなの?」
と唐突に英里が訊いてきた。

「ええー? 喧嘩売ってくる人には教えませんよー」
と言うと、

「どうせ、たいしたことないんでしょ」
と言ってくる。

「いや、びっくりするくらい格好いいですよ」
と思わず対抗して言ってしまったが、胡散臭げに見られる。
< 135 / 381 >

この作品をシェア

pagetop