眠らせ森の恋
 



 朝、目を覚ましたつぐみは、自分の顔の目の前に奏汰の顔があるのに気がついた。

 ひいーっ。
 何故、社長が同じ布団にっ? と慌てて飛び起きる。

 こっ、此処はっ?

 ……此処はっ!? と自分が布団を引きずってきたことも忘れ、つぐみは周囲を見回した。

 そ、そうか……。

 リビングで寝たんだった、と思い出し、
「危ないとこでした……」
と呟くと、

「なにが危ないとこだ」
と下から奏汰の声が聞こえてきた。

 ひいっ、と身を引く。

 こちらを向いて、横になったままの奏汰が目を開けていたからだ。

「い、いえ、奏汰さん、やはり寝相が悪くて落ちて来られてたので……」
と言ったのだが、奏汰は、

「俺の寝相が悪いわけないだろ」
 そんなことは言われたことがない、と言う。
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