(完)最後の君に、輝く色を
「あ、このジュース好きなやつだ。ありがとう」



嬉しそうに、冷えたペットボトルを頬に押し当ててから、キャップを回して喉に流し込んだ。



「ここ、また来ていいのかな?」



「ああ。兄貴に言っといてやるよ」



「いえーい」



無邪気に笑うその姿に思わず俺も目を細めてしまう。



「無理に強くなろうとしなくていいんじゃない。
お前を助けてくれる奴らはお前のことを大切に思ってるから助けようとするんだろうし、強くなくてもお前にはお前なりの良さがあるんだろ」



なんとなく、こうやって真面目な話をするのには慣れていなくて、目を合わせられない。



「そう…かな」



「そうだろ」



「…ありがとう」



少し隣に視線を向けると、夏実は今まで見たことないくらいの清々しい笑顔を浮かべていた。



「よしっ、でも自分に自信持てるくらいにはなりたいから、まずは飛鳥の絵凄いの描いてやる!誰も文句言えないくらいの!
だからこれからもよろしくね」



その瞬間、唐突に理解した。





俺はこいつが好きだ。



なんの根拠もない。



ほんの数日しか一緒に過ごしていない。



それでも俺は馬鹿正直で、素直なこいつを好きになった。




いいや、きっと初めて出会ったあの日から。



俺の前に突然現れたあの日に、きっと俺は生まれて初めての一目惚れをしたんだ。




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