(完)最後の君に、輝く色を
初めて見る屋上からの景色は新鮮だった。



だけど、



「別に描きたいとは思わない」



「お前そこは描きたいですとか言ってくれんかな
まあ、そういうとこがお前らしいがな」



ここがこの街で1番高いんだな。
この町一帯が一望できる。



まるで私がこの町の全てを操れる存在であるかのような、町を手中におさめた気分。



「でも、描きたいと思うようになるかもしれない」



「…つまり?」



「鍵ちょーだい」



そう言ってへらっと笑って手を開いて差し出すと先生は呆れたように顔をかく。



「ったく、仕方ねえな。
けど、ずっとお前に渡してたら気づかれるからほしい時に俺んとこに来い」



「やったあ〜。先生っていい先生だったんだね」



「今頃かよ」



軽く先生が私の頭を小突く。





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