過保護な御曹司とスイートライフ


「ふ、ぁ……っ」

背中に回った、逞しい腕。逃げないようにと顎を固定する手。
それは、慶介さんがした拘束よりも強いのに……怖いとは思わなかった。

解けたチョコを塗りつけるように動く舌にビクッと肩が跳ねてしまう。そんな私に、成宮さんは唇を合わせたままわずかに笑い……最後に残ったアーモンドを奪うとキスをやめた。

安心からなのか、余韻からなのか。
「はぁ……」と吐息を漏らすと、それも笑われるからキッと睨み上げる。

「顔、真っ赤」と意地悪く言う成宮さんを、胸を拳で叩いた。

急にこんなキスしておきながら笑える神経が信じられなくてしばらくボカボカ叩いていたけれど、アーモンドを噛んだ成宮さんは「痛い痛い」とたいして気にしている様子も見せずに夕食の準備をするから、それがまた頭にきた。

「私、にんじん食べられませんから、入れないでください」
「えらそうに言うな」

ビーフシチューをお皿によそってくれている横顔が呆れたような笑みをこぼしていた。

その横顔に胸が高鳴った気がしたのは、まだキスによる動悸が残っていたからだろうか。




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