Darkest White

てんま……?


光がいきなり顔を上げる。


その視線を辿れば、鈴蘭みたいに綺麗で優しい雰囲気を繕った女の人が立っていた。


「あ!やっぱりそうだ!」

ふわっと笑うとまるで滑るように軽やかに近づいてくる彼女。もちろんその先にいるのは…


「っ…お前…何してんだよ。」


彼しかいない。


「何って、天馬こそ。カフェなんて珍しいじゃない。」


そう言って視線をわたしに移すと、小さく首をかしげた。


「挨拶遅れました、篠崎鈴葉(しのさきすずは)です…!」


小さく笑ってそういう彼女は、わたしが今まで見てきた女の子の中で、一番透き通って綺麗な人だった。



そして……


わたしが見る初めての、光と親しげな関係を持っている女の人だった。


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