明くる日は。
会話は出来るかも、という有力な情報のもと、4日目。
今日は、名前を呼んで、返答を待つのではなく、会話を進めてみることにした。
そしてその時はすぐにやってくる。
「優太、優太なんだろ。
多くは望まない。あの時の話、聞かせてくれないか。」
そうすると昨日のようにこちらを向き、なんと弟は口を開いた。
「……の…めに………の…なを……。………………。」
その言葉はとても断片的で、何を言っているのかはわからなかった。
だが弟の声を聞けた。1年ぶりだ。もう少し頑張れば会話ができそうだ。
けど、それを言うとまた弟は前を向き、人混みに消えていった。
その日の夜、僕は一年前のことを思いだそうとしたが、なぜか全然思い出せなかった。
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