美意識革命
「…由梨さんが俺のこと好きって言った…!」
「い、言わないでください!今猛烈に恥ずかしくなってるんで!」
「…最高の誕生日プレゼントでしょ…。ありがとう。由梨さんの勇気が嬉しい。」
「…今日勇気を振り絞らなくていつ…って感じですよね…本当に遅くてごめんなさい…。」
「そんなの全然、全部吹っ飛ぶくらい今嬉しいから大丈夫。」

 森の笑顔にドキドキする気持ちもあるが、今はそれよりもこんなに喜んでくれることが嬉しい。

「由梨さん。」
「…な、なんですか?」
「もう1回言ってもらってもいい?」
「…好き、ですよ。」
「もう1回。」
「…好きです!もう寝ましょう!お願いします!」
「俺も大好き。」

 ぎゅっと強く抱きしめられる。そして唇が再び重なった。

「…寝ます!」
「待って!」

 由梨は恥ずかしさの限界点を突破したことを理由に、人様のベッドに先にもぐりこむことにした。これ以上森に抱きしめられていると間違いなく心臓がちぎれる。

「残念でした。そこは逃げ場じゃないんだな~!」
「なっ…わぁ!」

 ベッドの中で背中からぎゅっと抱きしめられる。

「由梨さん。寂しいからこっち向きで寝てほしい。」
「…恥ずかしさの限界点を突破しました。」
「それはわかってるけど、でも由梨さんのこと正面からぎゅってしたい。」

 こういう言い方は本当にずるい。森は明らかにわかってやっているとしか思えない。それでも今日はどうしても逆らえなくて、由梨は顔が見えないようにぐるりと向きを変え、森の胸に顔を埋めた。

「…布団の中だと苦しくない?」
「…大丈夫です。」
「意地っ張り。」

 森の右腕が由梨を抱きかかえるように回ったことを感じる。

「電気消したら、ちゃんと顔出してね。」

 由梨は小さく頷いた。 
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