極上求愛~過保護な社長の新妻に指名されました~

「それでは最後に…変わりたい、そう願う読者にアドバイスをお願いします」
「変わりたい、かぁ…」

『新たな一面、新たなスタート』。
そんなテーマの元、順調に進んだインタビューの最後…里香さんが唯一少し困ったように言葉を詰まらせたのがそんな質問だった。

「…私、自分のことがあんまり好きじゃなかったの」
「里香さんが、ですか?」
「うん。誰かに求められる私になれば、少しは自分の事を愛せるかもしれない。そんな思いが国枝里香の基盤」

キラキラと輝いて見える芸能界の中で一際輝く、日本中の女性が憧れる国枝里香という女性。
そんな彼女の思いもよらなかった言葉に思わず言葉に詰まってしまう。

「ふふ、ごめんね。そんな暗い話じゃないのよ。今は以前よりも自分のこと好きだと思えるようになったから」
そう言って笑う里香さんの笑顔はどこまでも隙がなくて、美しい。

「里香さん」
「なぁに?」
だけど…目に見えるその姿だけが、里香さんの全てなわけはないのだ。

「あの、今回の撮影のテーマは赤なんですけど」
「ん?うん」
「私、本当は…里香さんの色はオレンジだと思うんです」
「オレンジ?」

なんて言えば、今自分の中にある気持ちを里香さんに伝えられるのかわからなかった。
けれどそんな私に続きを促すように優しく微笑んでくれる里香さんに…少しでも思いが届くように精一杯伝えようと思った。
< 131 / 208 >

この作品をシェア

pagetop