ありがとうって何回言っても足りないよ。
「あ、あああ……あのっ!」


男の人が目の前にいることと、これからこの人に何かされてしまうのではないかという2つの恐怖が頭の中を巡り、体が震える。


「昨日はどうも。」


昨日の彼は不敵に笑って、完全に怒っていると理解した。


「き、昨日はごめんなさい!スマホ弁償しますっ!」


あたしは光の速さで頭を下げた。


「弁償とかいいから。つーか、こっち来てくんない?」

「きゃっ!」


がしっと腕を掴まれた途端、一気にクラクラしてきた。
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